将来のために資産運用をしなければならないとは思いつつ、リスクが怖いので「安全な預金にお金を置いている」という人も多くいると思います。
一方で「預金(現金)は金額が動いていないだけで実際には価値が減っている」という話を聞いたことがあるかもしれません。 この「預金の価値が目減りする」というのはどういう意味なのか、またどういう対策が必要なのかを解説していきたいと思います!
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インフレを理解すると意味が分かる

「預金の目減り」は「インフレ(インフレーション)」という言葉の意味を理解するとすぐにわかります。
インフレというのは簡単にいうと「物価が上がること」です。
少し昔まではジュースもパンも100円前後だったのに、最近ではコンビニに行くとどちらも120円くらいは当たり前になっていると感じないでしょうか?これがまさに「物価の上昇=インフレ」です。ではこれがなぜ預金の目減りと関係するのでしょうか?
例えば、10年前に100円だったジュースが今120円になっているとすると、10年前に100円を預金していた場合、その預金(100円)は「ジュースが買える価値」だったわけですね。
しかし10年経って物価が上がるとその預金(100円)は「ジュースを買うには20円足りない価値」になってしまうわけです。
これは預金の額が100万円だろうと1億円だろうと同じです。
つまり物価が上がる=現金の価値が下がる という方程式によって、預金の価値はインフレ環境においては下がり続けていくので金額が変わらない(元本が保証されている)ことは非常に大きなリスクであるということです。
2012年以降、デフレからインフレに転換した日本
日本は長い間、世界でもほぼ唯一の「デフレ」、つまりインフレの逆で物価が下がり預金の価値が上がっている国でした。
しかし2012年に始まった安倍政権による「アベノミクス」ではこのデフレ脱却を掲げて「物価上昇率、年2%」を目標に政策を進め、インフレに転換しました。
デフレ環境下では預金の価値が減らないので日本では世界でも珍しい「預金においておけば大丈夫」という価値観が育っていましたが、インフレに転換すると預金は一気にリスクの高い資産として認識され、多くの人が資産を現金ではなく株式や投資信託といった投資商品で保有する流れが出来ました。
NISAやiDeCoなど制度の面でも拡充され、この「預金の目減り」リスクに気づいた人たちの資産の大移動が起きているのが日本経済の現状の一つといえます。 一方でまだこのリスクに気づいていない人たちは「とりあえず預金においておけば安全」というデフレ時代の古い価値観をアップデートできずに資産を目減りさせているのも現状で、金融業界ではこういった人たちに資産運用の重要性を訴える取り組みを行っています。
「預金なら大丈夫」と思っていた人が持つべき2つの思考

デフレ時代の考え方である「預金なら大丈夫」と思っていた人たちが資産を投資商品に向けるべき2つの考え方を整理します。
預金が目減りするのでその分、投資で増やす必要がある
これが最も一般的な理論ですが、預金として放っておくと減るのであれば投資によって増やさないといけないという考え方です。
日本が目指している「年間2%の物価上昇」(現実は1%程度)のもとでは逆にいうと「年間2%以上の利回り(利益)を出していなければ実質的に資産がどんどん減っていく」ということになります。 よって株式や投資信託によって年間で2%以上のパフォーマンスで運用する必要があります。株式の配当利回りでも投資信託の平均リターンでも「年間2%」というのは決して難しい水準ではありませんので、まずは預金をなんらかの商品に向けるだけで十分に越えられるラインといえるでしょう。
物価が上がるなら資産を「モノ」にしておけばいい
次の考え方としてはインフレの大原則に立ち返るのですが、現金が減っていくということは物価、すなわちモノの値段が上がっているということでした。 では資産も現金ではなく「モノ」で持っておくと価値が上がっていくと考えることが出来ます。モノとしての資産とは「不動産」「株式」「金」などの資産となるため、結果的には投資商品を持つことが対策として挙がってくるというわけです。
インフレで預金が目減りしているので投資商品で対策を

まとめると、インフレとなった現在の日本では預金を持つことは「資産を減らすこと」となります。ずっとインフレにあるアメリカやヨーロッパでは、平均で見ても資産は半分以上を株式や投資信託といった投資商品として保有しています。
これに対して最近ようやくインフレになった日本では平均で投資割合は10%未満と多くの家計で資産を目減りさせていることが分かっています。
政府としてもバックアップ体制として「NISA」や「iDeCo」といった節税もできる資産運用の形を整えているので、いまだに資産を「目減りする預金」においている人はこれらを活用しながら「モノ」への資産の移動を早急に検討すべきかもしれません。 まずは第一歩として証券会社での口座開設を検討してみてはいかがでしょうか?
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