「EDS」とは?10年間「過眠症」と付き合った私が克服するまで

「EDS」を知っていますか?「Excessive Daytime Sleepiness」の略で、直訳すると「日中の過度な眠気」です。
睡眠障害の一種で、よく知られている「不眠症」とは逆で「過眠症」とも呼ばれ、耐えられないほどの眠気が症状として出るものです。
実際にこの「EDS」に悩まされた私がどのようにこの症状と付き合って克服してきたかについて書いていきたいと思います。

「EDS:Excessive Daytime Sleepiness」とは

「日中の過度な眠気」と聞くと、
「そんなこと誰にでもあるでしょう」
と思われるかもしれません。確かにお昼時や睡眠不足の時にどうしようもなく眠くなることは誰にでもあるため区別がつきにくい(だからこそ厄介なのですが)ものです。
睡眠障害としての「EDS」の特徴としては

・睡眠を十分にとっていても発症する
・ほぼ毎日の頻度で発症する
・時間帯はランダムに発症する(よくある「食後の眠気」とは違う)
・耐えられないほどの眠気の強さ(場合によっては寝る意識なく眠っている)

というもので、医学的にも過眠症としては認められています。
はっきりとした原因は特定されていませんが、よくある間違いとしては、過眠症と思われる人によくよく話を聞くと原因が単純に「睡眠不足だった」というパターンです。
慢性的な睡眠不足により強い眠気を日常的に発症して病院に診察で訪れたものの、睡眠時間(および質)の改善で治ることも多いようです。
なので条件にもある通り、十分な睡眠をとっているにも関わらず発症していることが「過眠症」と診断される大きなポイントになります。
また、不眠症と並んで睡眠障害の一つに数えられるこの「過眠症」はストレスによって発症している患者が多く、うつ病患者の80%がこのような何らかの睡眠障害を抱えているように精神的な不安定と密接に関わっているようです。

私が過眠症になった原因

私が過眠症を発症したのは社会人1年目の22歳の時でした。
一般的にはに過眠症や「EDS」の発症は明確な原因がわかりません。
しかし私の場合は原因の可能性が高かったのが学生時代の生活でした。
大学生活において完全に昼夜が逆転した生活を送っており、昼間に眠ることが規則的になっていた私が、急に社会人になってまた真逆の生活になったことで、学生生活の後遺症として過眠症の症状が現れたと思われるのです。

「EDS」による日常生活における「支障」

despair

社会人になって発症する過眠症はまさに地獄でした。
日中に耐えられない眠気が発症することは想像以上に生活の面でも精神的にもきついものです。

仕事における支障

私は発症した当時、証券会社の営業をしていたのですが、ほぼ毎日仕事中に耐えられないほどの眠気に襲われます。
幸いにも営業という毎日会社から外出のできる仕事だったため、発症時はすぐに会社を出てどこかで仮眠を取っていました。
営業車や公園、カラオケや喫茶店など仮眠する場所は多岐に渡りましたが、EDSを解消するためには15分ほどの短時間での仮眠でも十分なため、長時間の外出は必要ありません。
毎日この仮眠時間をいかにうまく捻出するかが当時の私の仕事における最優先事項でした。
また、外出できる時ばかりではありませんので会議中などには何度も気づいたら寝ていたという状態も多く、上司には頻繁に注意を受けました。
過眠症で何よりも辛いのは、この症状について説明しても理解を得られ難いことにあります。
仕事中に寝ていることに違いはないので、ただの怠けた人間だと思われる上、何度も会議中に眠っていては会社からの評価にも影響します。

プライベートでの支障

仕事以外の日は一安心したいところですが「EDS」はプライベートにも十分な支障をきたします。
最も危険なのは車の運転中の発症です。当時私は地方に住んでおり車で遠出することも多かったのですが、運転中にも猛烈な眠気に襲われます。
この場合は「気づいたら寝ていた」では済まないので、眠気を感じたらすぐに車を止めて仮眠を取るということが日常茶飯事でした。
友人とのドライブなどの際には自分で運転せず、友人にお願いするようにもしていました。
外出先で眠くなるというのは予想以上に辛いものがあります。そのため、気づいたら私は休日でもあまり外出せずに家で過ごすことが多くなっていました。

過眠症は30歳くらいまでに治る?

医学的にも過眠症を発症するのは10代から20代までが多く、30代になると一気に減っていくことが多いようで、私も結果的には30歳になるまでは何らかの症状に悩まされていましたが、30歳近くになると予想通りに徐々に症状は治まり、日常生活に支障をきたすことはほとんどなくなりました。
20代後半で転職をして外出のない内勤になったあとも、時々「EDS」が発症することはありますが、顔を洗ったり散歩をしたりカフェインの錠剤を飲んだりすることで何とか実際に眠ることなくしのげるようにはなりました。といっても耐えきれない時は席を外して仮眠を取ることもありますが、このあたりは営業中に身につけた「うまく抜け出して寝る」技術が生きているかもしれません。
EDSの緩和によってなんとか社会に順応してきて休日も楽しめるようになり、安心しています。

「EDS」は想像以上に理解されないのであまり口に出さず医療機関に行くことがオススメ

何度もいいますが「過眠症」や「EDS」は実際に発症している人以外にはほとんど理解されません。
逆によく寝ることを正当化していることにもとらえられるため、あまり簡単に症状を説明することはオススメしません。
これはこの症状において最も悩ましく、悲しいことです。明確な治療法があるわけではないので不便と不安と過ごすしかないことは本当に絶望的です。
しかし医療機関に行ってしっかりと受診することで精神的には非常に楽になります。また、今は薬でEDSによる眠気を抑えられることもできるようなので、発症が落ち着く20代後半まではなんとか薬と通院でやり過ごすことが大切です。
また、不眠症も含め、睡眠障害を抱える人のほとんどは精神的なストレスをあわせて抱えている場合がほとんどです。
EDSよりも根本のストレスをなくせるような治療を行うことが大切です。
思い当たるものがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。