「入社したい企業ランキング」で常に上位の楽天。
大学生・社会人問わず入社を検討している人は多いのではないのでしょうか?
入社試験に応募する前に情報はできるだけ集めておきたいところだと思いますが、企業サイトや就活サイトに書いてある情報がどこまで信頼できるものか、なかなか疑い深いものです。
そこで、現役の楽天社員である私がこれから入社する人たち向けに実際の職場環境についてリアルな部分を書いていきたいと思います!
Contents
「入社したい企業」上位の「楽天」とは

日本人であれば名前くらいは知っているであろう楽天ですが、有名な「楽天市場」や「楽天カード」のほか多くの事業を展開しており、常に拡大しているといっても過言ではありません。
日本を代表するグローバルなIT企業として、優秀な人材獲得と、働きやすい環境づくりには特に力を入れていることもあり、「自分自身の成長」や「自由に働ける社風」を目指して入社を希望する人は多く、就活での人気企業ランキングでは上位の常連となっています。
楽天の基本情報
本社所在地:〒158-0094東京都世田谷区玉川一丁目14番1号 楽天クリムゾンハウス
代表者:三木谷浩史
設立:1997年2月7日
資本金:204,562百万円(2016年12月31日時点)
売上:781,916百万円
従業員数:連結14,134人(2016年12月31日時点)
事業内容:Eコマース事業、クレジットカード事業、スポーツ・レジャー事業、エンターテイメント事業、自社メディア運営、その他生活に関わる事業など
基本情報からも規模の大きさがわかりますね。
大企業には珍しい「二子玉川」に本社を構えていますが、このおかげで新宿や渋谷方面といった都心へ向かう通勤ラッシュとは常に「逆向き」に移動することになるので非常に空いた電車で通勤できるのが魅力です。
ただ、事業部によっては色々な場所にオフィスが分かれているので全社が二子玉川というわけではありません。
IT企業らしい文化はイメージ通り

IT企業といえば、設立から新しい企業が多いのでなんとなく
・年功序列ではない実力主義
・スーツではなく私服で働ける自由な社風
・オフィスが新しくてオシャレ
のようなイメージが多いのではないでしょうか?
結論からいうとこれらのイメージは間違っておらず年齢や性別、国籍等を問わず結果を出した社員は表彰や昇格(昇給)の対象になりますし、服装などの固定観念やしがらみもありません。
オフィスも常に最新の機器や設備が拡充されているので、働く環境としては他にも数社経験した私から見ても国内トップクラスといえると思います。
ただ、逆にいうといわゆる「ゆとり世代」と呼ばれる若い世代が活躍する企業なので、年上に対する(年上というだけでの)敬意やマナーは、伝統のある企業に比べて乏しいと感じる人も多いと思います。実力主義がゆえ、実力のない年寄りには冷たいともいえます。
また、楽天ではいわゆる「ビジネスマナー」をしっかりと教える研修が充実していないほか、現場でもこれらをどの程度教えるかは事業部や先輩社員によってバラバラなため、新卒で楽天に入社した社員は、こういったマナーに厳しい人からすると「全然出来ていない」人が珍しくありません。
そのため、いわゆる「エレベーターの乗り方」「名刺の渡し方」「メールの送り方」などの旧来からの「ビジネスマナー」の浸透していなさには驚く人も多いです。
そうした点も含めて「IT企業らしい」といってしまえばそうなのですが、こういった慣習が気になる人はストレスになるかもしれません。
給与・残業

最も気になる待遇の部分では、給与と労働時間ではないでしょうか?
特にここは記載されている情報と実際に働いてみた時のギャップが生まれやすい部分なので出来るだけリアルに記載していきます。
給与は一般平均より高い
楽天の給与は世の中の平均と比べると高いです。
特に初任給については30万円以上と大企業の中でもトップクラスです。
そこからの伸びは人によりますが、一般企業の営業職のように歩合などで一気に伸びることはないので年齢が若いほど平均よりは高く、徐々に世の中の平均に近づいていくというような伸びになります。
注意点として、楽天の基本給は「みなし残業」を含んでいますので一定時間の残業まではこの基本給に含まれています。
含まれる残業時間は楽天グループでも会社によって規定が異なりますが、おおよそ30~40時間といったところでしょう。
その「みなし残業時間」を超えた分はしっかりと1分単位で残業代がつくようになっているので、ブラック企業に多い「サービス残業」ということにはなりません。
全体としては実力主義とはいえ、当然年次が上がるほど平均の給与は高くなっていきます。
私は中途入社ではありますが、30歳時点で年収がおおよそ700万円程度となっており、同年代と比べても高いといえます。
国税庁が毎年発表している民間給与実態統計調査によると30歳の平均年収は「403万円」なので平均よりも300万円近く高い水準にはなるようです。
福利厚生
経済的な福利厚生についてはほとんどないのが楽天のデメリットともいえます。
家賃補助はもちろん、企業型確定拠出年金なども導入しておらず
「給料が高い代わりにそこから全部払ってね」というスタンスですね。
このあたりは他の企業と比較検討している場合は考慮して最終的にどちらが有利かを考える必要があります。
ただ2019年にやっと退職金制度を導入したのは大きな改善ですし、ボーナスのタイミングではストックオプションも与えられます。
ただしストックオプションは付与から3年程度経たないと行使、つまり現金化はできず、行使されずに退職した分については消滅してしまいます。
労働時間は人によるが残業は一般より少ない
続いて労働時間についてですが、楽天グループ全体で残業規制については「サブロク協定」に基づいてかなり厳しく管理されているので、「月45時間」の残業時間が近づいたり続いたりすると上司から業務の見直しや強制帰宅を促されることも多いです。
とはいえ人によっては繁忙期でどうしても業務が多忙になるタイミングもあるため、この水準を超えてしまうケースもよくあります。
ベースとしては「月45時間」を超えない残業時間の範囲でパフォーマンスを最大化しながらも、超えてしまうタイミングも時々発生するのはしょうがない。
というのがリアルな現状といえるでしょう。
働き方のスタンスとして必ず定時に帰るという人も多く、毎日3割くらいの社員が定時過ぎには帰宅している印象です。
また、働き方にも割と寛容なので家庭の事情に合わせて勤務時間を前後にずらしたりする調整も各会社内ではよくあり、定時前に帰る人たちもよく見かけます。
労働時間には厳しいことから、「残業で稼ぎまくる」といういわゆる生活残業もそれほど多くはできないためこういった期待はあまりしないほうがいいです。
なかにはそういう人も見られますが、周りからは「あの人は生活残業してるなぁ」という目で見られています・・・
制度・設備

楽天では社員が働きやすいよう、様々な制度や設備を拡充しています。
その中でも特徴的で、ありがたいと思ったものをいくつか紹介していきます。
3食無料の「フリーランチ」制度
楽天で最も特徴的な制度としては社内のカフェテリアで3食無料の食事が出来ることでしょう。
朝食:バイキングほか、そば・うどんなど(7:30〜9:00)
昼食:日替わりの定食数種類ほか、麺類や丼など(11:00〜14:00)
夕食:日替わりの定食数種類ほか、麺類や丼など(19:00〜21:00)
メニューも豊富でクオリティも悪くないので食費が浮いてありがたいのですが、せっかくの昼休みなので利用せずに外食を楽しむ社員も少なくありません。
なおコーヒーやジュースを提供するカフェも併設されていますがこちらは有料となっていて、夜には酒類も提供されます。
社内設備
カフェテリア(食堂)のほか、社内にはコンビニやクリーニング、ジムに美容院、整体院もありちょっとした街のようになっています。
なおこれらの利用は格安ではありますが全て有料となっていて、キャッシュレスの社内では自動販売機も含めて全て楽天カード・楽天ペイ・楽天Edyでの支払いが必要になります。
業務時間中にも息抜きにカフェに行ったり(あるいはそこで打ち合わせをしたり)と社員はガンガン活用しています。

公用語である「英語」のリアル

英語が苦手な人にとっての心配事は、公用語を英語と掲げる楽天社内では実際にどのくらい英語が使われるかということでしょう。
結論からいうと英語が出来なくても何とかなります。
全社が集まる「朝会」や公式の資料は全て英語なので、こういった場所に立ったり資料を提出する際は英語でのスピーチや翻訳が必要ですが、準備期間があるので事前に時間をかければこなすことはできます。
その他、外国人も多いためそうした方との会議やメールでは英語を使うことがありますが、得意な人に訳してもらえば問題ありません。(少し恥ずかしいですが)
私も入社時に英語は全く出来ませんでしたが、基本的には日常の打ち合わせも会話も全て日本語なので問題なく、必要に迫られた時も時間をかけて準備をすることでなんとか乗り切れています。
何より英語に慣れてくるのでだいたい何を言っているのか、何が書いているかくらいは嫌でもわかるようになってきます。
ただ入社にあたっては楽天は英語をほぼ必須スキルとしているため、特に中途入社の場合はある程度使えないと(もしくはそれを上回る魅力が相当ないと)そもそも入社試験に合格する確率がかなり下がることは間違いありません。
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少なくとも私は、入社前に楽天に対して持っていた自由そうな雰囲気や充実した環境は、概ね期待を裏切ることなく、あるいはそれ以上に良いものだったと感じています。
具体的な給与や労働時間についても事前に受けていた説明から大きく齟齬もなく満足しているので、入社して「全然違うじゃん!」ということにはあまりならないと思います。
ただし住宅補助がなかったり、勤務先の場所が事業部によって違ったりと、情報の見落としによる勘違いがないよう注意すべきでしょう。
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