デッドリフトでバーベルを床に付けるかどうか問題

デッドリフト

「筋トレビッグ3」にも数えられ、背中やハムストリングスを鍛えるトレーニング種目として揺るがない地位を誇る「デッドリフト」。
ボディビルダーやアスリートはもちろん、多くのトレーニーがルーティン的にトレーニングに取り入れています。
しかし、このデッドリフトのフォームにおいて1レップごとにバーベルを床につけるかどうかという点においては迷っている人もいるのではないでしょうか?
そこでこのデッドリフトにおける問題について床につけるべきか直前で持ち上げるべきか、深く考えていきましょう。

そもそもデッドリフトとは?

デッドリフト

説明不要の人は読み飛ばしていただいて構いませんが、そもそもデッドリフトがあまりよくわかっていない人のために簡単に説明しておきます。
デッドリフトは「ベンチプレス 」「スクワット」と並び「筋トレビッグ3」と呼ばれる、筋トレにおける基本中の基本メニューです。
床に置いたバーベルを、全身の筋肉を使って引き上げて胸を張るという動作により、体の後ろ側にある筋肉「広背筋」「脊柱起立筋」「ハムストリングス」を中心に多くの筋肉を鍛えられることができ、最も重い重量を扱える種目の一つでもあることから常に人気上位のトレーニングです。
一方で腰を痛めやすいトレーニングとしても有名で、怪我をしないためにもそのフォームの重要性も他のメニューよりも高いといえます。
下手なフォームでデッドリフトを行うと怪我をすることから初心者にとってはとっつきにくい種目ともいえますが、全身を効率よく鍛えるためには是非とも取り入れたいメニューです。

バーベルを下ろすのは床まで?

さて問題となっているのは床から引き上げたバーベルを元の軌道で戻していく時に、「床までつけるのか」という点。
ガシャンガシャンと遠慮なく床に落としている人もよく見かけますが、床につけるスレスレで次のレップつまり引き上げの動作に入る方法をとっている人も見かけます。
ボディビル選手のトレーニングを見ていると床に落として引き上げる「床につける派」が多いことから、ジムでも多数派となっているのは「床につける派」だと思いますが、「じゃあ床につけるで正しいじゃん」とならないのがこの問題の根深いところです。
そこでトレーニングの基本理論に立ち返ってバーベルを床につけること、つけないことでのメリットをそれぞれ考えていきます。

ポイントは「ネガティブ動作」に効かせるかどうか

ということでバーベルを床につける・つけないのメリットを見ていきますが、重要なポイントは「ネガティブ動作(バーベルを下ろす時の動作)」で筋肉に効かせるかどうかという点です。
床にバーベルを落とすことなく引き続けることにより、筋肉から負荷が抜けずにネガティブ動作における負荷が加えられやすくなるという点が大きなポイントです。

バーベルを床につけるメリット

・ポジティブ動作(持ち上げる動き)の負荷を最大にできる。
・腰の怪我リスクを下げられる
・より高重量を扱える
・筋肉痛が長引きにくい


ということで1度ごとにバーベルを床につければ下ろす時に負荷が逃げることになるので、ポジティブ動作に筋力を集中させることができます。それによりより高重量を扱えたりネガティブ動作で腰を痛める危険性も無くなります。
特にネガティブ動作における負荷は筋肉痛が長引きやすくなることが多く、逆にそれを避けることでデッドリフトの頻度が上がり、初心者にとってはフォームの練習という意味では上達も早くなることが期待できます。
結局最大のメリットは「怪我リスクを下げる」ということに尽きることとは思います。

バーベルを床につけないメリット

・ネガティブ動作による負荷を加えられる
・負荷が逃げない


床スレスレで次のレップに入る方法のメリットは「ネガティブによる刺激」に尽きます。
あらゆるトレーニングメニューにおいてポジティブだけではなくてネガティブでも負荷をかけて「ゆっくり戻す」ことは基本です。
バーベルを床につけることでどうしても最後に力を抜いてしまうので負荷が抜けてしまうことは避けられません。
ネガティブで腰を痛めてしまうという人もいるので一概には言えませんが、トレーニングの原理からするとネガティブでも負荷が乗り、しっかりと効かせられる「床につけない派」の方が理にかなっているとも考えられるのです。

バーベルは床につけながらも「落としてはいない」という状態が理想

バーベル

「どの方法が最も効率的に筋肉に効くか」という観点で考えるならば
より深いところから引き上げつつ、負荷が逃げていない
という条件を満たすのは

1回ごとにバーベルを床につけるけど負荷を逃していない(力を抜いて落としていない)状態

ということになります。
色々なアスリートのデッドリフトを見るとわかるのですが、例えばウェイトリフティングの選手はより重い重量を扱えるためのトレーニングなので、わりと早い段階からガシャガシャとバーベルを落としますが、ボディビルダーなどはそれほど豪快に落とすことはせず、バーベルが床につく最後の最後まで力を抜かずにコントロールしている場合が多いです。
ネガティブ動作でしっかりと効かせながらも、次のポジティブ動作での負荷を最大にするために床にバーベルをつけるわけですね。
まさにこれが両者のメリットを最大に生かした理想の方法といえます。
メンタル的には非常にしんどいのですが・・・
また何よりも、遠慮なく「ガシャンガシャン」と床にバーベルを落とす音を大きく鳴らしてトレーニングしているのは、器具も痛めますしジムによっては周りの人にも迷惑をかけてしまいます。
とはいえ怪我をしては元も子もないので、「危ない」と思ったら遠慮なくバーベルは落として安全第一でのトレーニングを心がけましょう。